見積番号が重複していたことに気づくのは、たいてい請求の段階です。同じ番号の見積が2通あって、どちらが生きているのか分からない。番号を手で打っている限り、これは起こります。
kintone の標準機能で近いものはレコード番号ですが、これは 1, 2, 3… と増えるだけの通し番号です。年度が変わってもリセットされませんし、見積と請求で番号体系を分けることもできません。実務で使う管理番号は「EST-0001」のように意味を持たせたい場面がほとんどで、そこに標準機能は届きません。
この記事では、XenoX の自動採番プラグインを使って、見積管理アプリに次の番号が自動で入るところまで作ります。JavaScript は書きません。
- 種別が「見積」のとき:EST-0001、EST-0002…
- 種別が「請求」のとき:INV-0001、INV-0002…
作るアプリ
見積と請求を1つのアプリで扱う、よくある構成にします。フィールドは6つだけです。
- 見積番号(文字列1行)… 採番の対象。重複を許さない設定にしておきます
- 種別(ドロップダウン:見積/請求)… 接頭辞の切り替えに使います
- 発行日(日付)… 既定値は今日の日付
- 顧客名(文字列1行・必須)
- 件名(文字列1行)
- 金額(数値)
見積番号は重複禁止にしておくのがおすすめです。万一おかしな番号が入ったときに、保存の時点で止まります。
プラグインを追加する
アプリの設定からプラグインを追加します。歯車アイコンから設定画面を開けます。
採番ルールを作る
設定画面で「+」を押すと、採番設定が1つ追加されます。上から順に決めていきます。
採番するタイミング
3つから選べます。
- レコードを保存したとき… 新規作成や編集のたびに採番します
- プロセス管理を実行したとき… 「承認」を押した時点で採番したい場合
- ボタンをクリックしたとき… スペースフィールドに置いたボタンで採番します
見積番号は作った時点で確定していてほしいので、ここでは「レコードを保存したとき」を選びます。
承認されるまで正式な番号を振りたくない運用なら、プロセス管理を選ぶと下書き段階で番号を消費しません。
採番フィールドの選択
番号を入れるフィールドを選びます。ここでは「見積番号」です。選べるのは文字列1行のフィールドだけなので、数値フィールドを使っていると候補に出てきません。
条件とプレフィックス
「条件追加」を押すとルールが1行増えます。鉛筆アイコンから中身を編集します。
プレフィックス(番号の前に付く文字列)は2通りから選びます。
- テキスト入力… EST のような固定の文字列
- フィールドの値… ドロップダウンや日付など、レコードの値をそのまま使う
日付フィールドを選んだ場合は書式も指定できます。年月日(20260101)、年月(202601)、年(2026)など7種類から選べます。
固定の文字列と日付を同時に使うことはできません。「EST-2026-0001」のように両方を重ねた番号は作れないので、どちらを取るかを決めます。種別で分けたいなら固定文字列、年度で区切りたいなら日付です。
ゼロ埋め
連番の桁を揃えます。既定は4桁で、0001 から始まります。桁を揃えておくと、一覧で並べたときに番号順になります。
種別で接頭辞を切り替える
ルールは何本でも並べられます。種別ごとに別のルールを作って、接頭辞を変えます。
- 1本目:条件「種別が見積」→ プレフィックス EST
- 2本目:条件「種別が請求」→ プレフィックス INV
保存すると、ルールの一覧はこうなります。
ルールは左端のつまみをドラッグして並べ替えられます。条件の広いものは下に置いておくと安全です。
この状態で、種別を「請求」にしてレコードを保存してみます。保存した時点で見積番号に INV-0001 が入っています。入力欄に手を触れる必要はありません。
年度でリセットする
年度が変わったら 0001 に戻したい、という要望もよくあります。プレフィックスに日付フィールドを選ぶと、連番リセットタイミングの選択肢が出てきます。
- なし(通し番号)
- 年毎
- 月毎
- 日毎
発行日を「年:2026」の書式にして年毎リセットを選ぶと、2026-0001、2026-0002… と進み、年が変わると 2027-0001 から振り直します。
過去のレコードにまとめて番号を振る
番号の運用を途中から始めると、既存のレコードが番号なしで残ります。これは後からまとめて埋められます。
「高度な設定」タブで「表示中の一覧で採番されていないレコードを一括採番ボタンで採番する」にチェックを入れて保存すると、一覧画面に「一括採番」ボタンが出ます。
押すと、番号が空のレコードだけに採番されます。
発行日の古いものから順に番号が振られ、種別ごとのルールもそのまま効きます。見積と請求が混ざった一覧でも、EST と INV に分かれて連番が入ります。
対象は「表示中の一覧」です。絞り込んだ一覧で押せば、その範囲だけに採番されます。
アクセス権を設定している場合
レコードのアクセス権を絞っていると、採番時に既存の番号を数え切れずに番号が重複することがあります。その場合は「高度な設定」でAPIトークン(レコード閲覧権限)を設定します。入力したトークンは暗号化して保存され、設定画面からは見えません。
設定にかかる時間
アプリを作るところから数えても15分ほどです。同じことを JavaScript でやる場合、同時保存で番号が重ならないようにする処理まで書くことになり、その後はそのコードを誰かが保守し続けます。設定画面で済ませられる範囲なら、設定で済ませたほうが後が楽です。
自動採番プラグインはこちらから詳細をご覧いただけます。採番まわりで困っていることがあれば、kintone の業務改善支援でもご相談を受けています。